2009年06月07日

エンジンオイル基礎知識

エンジンオイルは種類や値段が千差万別

値段での評価、ブランドでの評価、怪しげな薀蓄の数々...



正直女性のブランド狂いを笑えない状況です



ばちぇらも正直何を使ったら良いのか分かりません
ですので、少々お勉強しました

学業以外には向上心バリバリです


所詮独学なので間違った知識満載
こんな見方もあるのか程度に見といてください

また、致命的な間違いがあれば訂正してくれると助かります




今回はグレード(SFとかSMとかMAとか)等の紹介ではありません
このようなグレードは調べれば詳しいサイトが幾らでもあります
ですので、さらに基礎的な事をご紹介

注意:専門家では無いので内容の保障はしません



「オイル何入れればいいと思う?」

「とりあえず、全化学合成油入れておけばOK」



って会話ありませんか?

そもそも全化学合成油ってなに?






オイルは大まかに分けて
ベースオイル
(文字通りこいつ主体で潤滑するぜ)
添加剤
(寿命強化・対温度変化・劣化防止等々・・・)

に分けられます。
合成油等の判断は、どの様なベースオイルを使用したかによって決まります


ベースオイルには5種類の分類があり、

グループ1 ~ グループ3
↑鉱物油
↓合成油
グループ4 ~ グループ5

となっています。

グレードではなくグループなので、
性能による分類ではありません
成分・製法による分類です
後から発見された物ほど追加でグループ分けされていくので、数値が上がるほど良いものである事には違いないのですが、数値が上に上がるほど偉いわけではありません。
現在車両用の主流はグループ2です




グループ1 ・ グループ2
これらは、純粋に石油精製の過程で作られます
ただそれだけなので、
分子量バラバラ 成分不安定
といった、側面があります。
主成分や混入する成分は、使用する原油によって様々。
つまり、オイルとしての性能の良し悪しは
原産地のみに左右されます

ペンシルバニア産(パラフィン系)が有名ですが、一般にに出回るのは中東産(ナフテン系)です

ガソリンや灯油を作ってたらついでに出来ちゃいました♪
というレベルなので、当然激 安
世界の大半で使用されているオイルです




グループ3
高度水素化分解(ハイドロクラッキング)を行い精製されたオイルをさす
俗に言うVHVI油
触媒を用い、不純物等を処理します
無名校の特進クラスみたいなものです
後述するグループ4に勝るとも劣りません
安定性が高く、メーカー純正油にはVHVI油が使用されることが多い
だから純正オイルは鉱物油でも高いのね・・・

さて。 このオイル
ちょっとした物議を醸してます
議題は合成油か否か

無名校特進「俺らは有名校の連中になんら引けをとらない優秀集団だ!」
有名校「はぁ!? てめーらとは金のかけ方が違うんだ大人しく大衆と争っとけ!」


米国・日本等では合成油扱い
欧州では鉱物油扱い


世界展開しているメーカーで鉱物油のクセに妙に値段の張るオイルがあったら高確率でVHVI油です

逆に、合成油のクセに結構お手軽価格と思っても高確率でVHVI油です
日本では合成油ってだけで鉱物油より高性能ってイメージが浸透しているので日本向けに合成油ってパッケージにしたりしてます









さて。 次からは正真正銘合成油に入ります。
合成油・・・クソ高いですね
VHVI油とは比べ物にならない値段です

それも当然。

合成油の世界需要&生産規模は1%以下です
こりゃ値段高いわな

よく言われるシール等への攻撃性ですが、この点は言及しません
攻撃を最小限にするために絶妙な配合を行っており、尚且つシールの方も進化があるので市販レベルなら問題無いと言っても良いでしょう



グループ4
オイルを一度分解・再結合させて作ったオイル
主にPAO(ポリアルファオレフィン)と呼ばれる

オイルを一から作るわけで当然
不純物無し・成分一定
成状も好きにいじれるので、狙い通りの性能が得られます
街乗り重視からサーキットまで思いのまま


・・・それだけです
一度分解・再結合なんてやってるので当然高コスト
んで、得られる成果は高品質VHVI油と同等・・・なんだかなぁ・・・


とは言っても自由度が高いオイルなので、相手を選びません
コスト削減のためにグループ2を使おう。 でも、グループ2だけだと今の基準通らないなぁ・・・ じゃあ、2の苦手部分を克服させたグループ4の油と混ぜちゃえ
こんな使い方が出来ます





グループ5
エステル系オイルです
エステルは電気的に金属と吸着するので、従来のような油の粘度で油膜を保持する必要がありません
驚異的な低粘度オイルで潤滑でき、副次的にフリクションが減ります。
さらにエステル系はオイルとしての基本性能、
潤滑性 熱安定 低温流動性 揮発性 等
他のグループのオイルを寄せ付けない高レベルで安定してます
まさに次世代と言うべきオイルで、今後エステル系が主流になると予測します


ん? そんなに良い物ならなんで量産しない? その方が安くて高性能が手に入るじゃん

エステルには致命的欠点があります。
加水分解
エステルは、脱水することにより生成します
逆に言えば、水を加えると元に戻ってしまうのです

ただでさえ日本は多湿気候。 しかも、ちょいのりが多く発生する地形
メーカー推奨半年なんてとても持ちません
二ヶ月でオイルとしてはオシャカになると思っていてください
もうレース専用レベルですね
いくら高性能でもメーカーが使用しない理由がここにあります

逆にここさえ改善できれば耐久も燃費も潤滑も良いエステル系が一気に広まるという事ですね
当然現在も日進月歩で、他のオイルとの調合・エステル自体の改善により、昔に比べ相当寿命が延びてます
パッケージが変わらなくとも成分がだいぶ変わった製品などたくさんあります

ただ、最新エステルは4輪用として使われるので2輪に関しては数年の技術の遅れがあります
もちろん理由はクラッチやミッションとの兼ね合いですね・・・






さて。 エステルと言っても幾つか種類があります
代表的な物を軽くご紹介

ジ・エステル
旧エステル系主流製品です
低温流動性が非常に高く、-60度というわけの分からない気温でも使用可能
また、その低粘度を活かし、鉱油やPAOと組み合わせて粘度の調節等にも使用されます
なんと言っても
『エステル系にしては』長持ちするのが魅力的
オイルとしての基本性能も鉱油とは勝負にならず、後述するポリオールエステルとなんら遜色ありません

ただひとつ問題点が・・・
熱に弱い
高温域で潤滑出来ないと言う意味ではありません
むしろ、高温域での潤滑にこそエステルの真価発揮と言うレベルです
しかしながら、高温になると重合反応が進み、別種のエステルと化します
添加剤によって抑制は出来ますが根本的な解決には至ってません
とは言ってもそんな高温になるのはレース等の全開走行を続けた場合です
よって、街乗り系オイルに多く使用されるタイプです




ポリオールエステル
ジ・エステルよりもエステル基が1.5~2倍多く、それに伴い金属との吸着力も1.5~2倍、つまり摩擦低減効果も1.5~2倍されているエステルの正統進化系です
引っかかる言い方でね
エステルレベルになると吸着力がどうとかもうあんま関係ないらしい

性能的にはほぼジ・エステルと変わらない。 が。
ポリオール系は熱安定性が優れているので、
高温状況下でもエステルが変質せず、スペックを保てます。 スゲエッ!

そしてさらに! 生分解性がとってもすごい!
これは、自然界へのダメージが非常に少ないことを示している
とってもエコロジー

そして分解性が高いと言うことは、放って置いても劣化していくと言うことだ

・・・うむぅ・・・

ポリオールエステルをメインに使っているのは、
主にレースユース用と思って良い



コンプレックスエステル
正直情報不足
分子配列的には、ポリールエステルをさらに2倍と言ったところか?

ジ・エステルの耐久性、ポリオールエステルの安定性を併せ持つエステルである

寿命は大幅に伸びたようだ




エステル系の寿命向上は各メーカー最大の課題であり、日々進化し続けている
だから、具体的に何キロ持つかとかは製品によってまちまちである
ただ、エステルは油の粘度で潤滑するわけではないので、劣化してきた際のフィーリング変化が顕著である
フィーリングが渋ってきたなと思ったら交換時期だ


また、エステル系全般に言えることだがエステル自体の吸着能力が高すぎて
添加剤との相性が最悪である
エステル系オイル使う時は、添加剤の効果は無いと思って良いだろう



ざっとこんな所だろうか
補足すると、単にエステルと言っても種類がたくさんある
ポリオールやジ・エステルと言うのは、個体名称ではなく種族?の名称だからだ

よって、メーカーのノウハウや生産技術によってまったく別種のエステルが使用されている事が多々ある





さて。 とりあえずざっと紹介した
短く簡潔にするために結構飛ばして説明した感もあるが、大まかには捉えられたと思う

昔は合成油信者だったが、
しょーじき勉強すればするほど
VHVI鉱物油がベストバランスのような気がしてきた・・・

が、確かにエステル系オイルのフィーリング変化は感動物でまさに次世代だ
使ったこと無い人は一度試してみるのも良いと思う




次回記事では実例を交えつつ幾つかのオイルをご紹介


at 06:28コメント(2)トラックバック(0) 
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コメント一覧

1. Posted by 玄葉   2009年06月11日 14:29
とりあえずヤマハの赤缶入れとけば間違いないというのは若干間違っているということなんですかね?
2. Posted by ばちぇら   2009年06月14日 16:33
>玄葉さん
いえ、これは4stのお話ですので^^
ヤマハの2stオイルはかなり高性能ですので、使い続けて問題ないと思います
って、以前2stオイル基礎知識書いたんだけど、2stオイル評価書き忘れてるOTZ
こっちもかかなきゃ・・・

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